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箱根駅伝名門校復活へ。その鍵を握るのは関西出身の3年生エース

箱根駅伝ノート・中央大学 第4回

前回44秒差で散った中央大学が、今年の箱根駅伝の予選会を3位で突破。2年生主将・舟津彰馬を軸に団結した名門校が、伝統の「C」のユニフォームで新たな歴史をつくることができるのか。
箱根を目指す選手たちの1年を追った「箱根駅伝ノート」を12月に上梓。自身、元箱根駅伝ランナーでもある酒井政人氏が、そのドラマに迫った。同大学の挑戦を全5回に渡ってお届けする。〈第4回〉

3年生エースの堀尾謙介選手(左)と2年生主将の舟津彰馬選手。

 主将の舟津、副将の竹内大地、それから藤原監督から「エース」と呼ばれる選手がいる。それが3年生の堀尾謙介だ。1万mでチームトップのタイム(28分34秒54)を持ち、正月の箱根駅伝では関東学生連合で花の2区を走っている。

「昨年のこの時期は、自分は箱根があったのでテンションの差を感じていましたが、今年はチームとして箱根駅伝があるので、レギュラーをもぎとってやろうという中間層の選手たちがいい雰囲気をつくりだしています。前回は独特の雰囲気に飲まれましたし、タスキをもらった位置もあるので、ただ走っただけの箱根駅伝になってしまいましたが、あの雰囲気を味わえたことは、自分にとってプラスでしたね。今回の箱根駅伝では自信を持ってスタートラインに立てるのかなと思っています」

 堀尾は周囲が認めるほど高いポテンシャルを持ちながらも、1学年下の主将・舟津から「エースらしくしろよ!」と容赦なくいじられるキャラでもある。ふたりは昨季、寮で同部屋だったこともあり、今も非常に仲がいい。ジョッグなども一緒に走ることが多いという。

「僕の性格上、人には言わないタイプ。どちらかというと後輩とも仲良くやっていきたい雰囲気を出しているので、舟津からすれば、自分には言いやすいのかな。きつく言われることもあって、正直むかつきますけど、舟津が言っていることは間違っていないですし、自分の過ちに気づくこともあるので、自分のために言ってくれると思って飲み込んでいます(笑)」

 熱血漢の九州男児の〝言葉攻め〟も、関西出身のふんわり系はうまくやり過ごしているようだ。最近は練習日誌をさぼっている、と言いながらも、今年3月からチームで指導を受けているメンタルトレーナーの話は自身のノートにしっかりとまとめている。

 大きな舞台で力を発揮するには? 信頼される選手になるには? 堀尾のノートには中央大の〝真のエース〟になるための条件などが綴られていた。

 
次のページ真のエースへ、箱根の走りに期待

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酒井 政人

さかい まさと

1977年生まれ、愛知県出身。「箱根」を目指して東京農業大学に進学。1年時に出雲駅伝5区、箱根駅伝10区に出場。2年時の故障で競技の夢をあきらめて、大学卒業後からスポーツライターに。陸上競技をメインに取材して、様々なメディアに執筆している。著書に『箱根駅伝 襷をつなぐドラマ』(角川新書)、『箱根駅伝監督 人とチームを育てる、勝利のマネジメント術』(カンゼン)、『東京五輪マラソンで日本がメダルをとるために必要なこと』(ポプラ新書)。


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